内視鏡内科

  • 診療内容

    特色

    内視鏡内科は咽頭から食道、胃、十二指腸、大腸、直腸まで内視鏡を用いた診断と治療に特化した診療科です。

    診療内容

    小山恒男が部長を、高橋亜紀子が副部長を務め、全国から集まった内視鏡専門医を目指す医師たちとともに、内視鏡診断治療を行なっています。
     

    ■内視鏡診断

    佐久医療センター内視鏡室は最先端の拡大内視鏡を全室に備え、内視鏡本体のみならず、モニターや高周波装置などすべての機材を天井から吊り下げる方式にしました。また、室内を明るく保ちながらも、モニター画像をより鮮明に観察できる青色光による可変照明システムを導入しました。また、検査中の安全性を保つために、全室に心電図、SpO2、自動血圧計を備え、酸素、二酸化炭素、吸引配管も配備しました。このような施設のもとで、拡大内視鏡、Image Enhanced endoscopyを駆使した、より高度の内視鏡診断を行なっています。
     

    ■食道内圧検査

    アカラシアに代表される食道運動機能障害は、通常の内視鏡や造影検査での診断は難しく、食道内圧検査が必須です。当院の内視鏡内科は、長野県内で唯一内圧検査を行なっている診療科です。
     

    ■ESD

    ESDの開発施設のひとつとし、咽頭から食道、胃、十二指腸、大腸までESDを積極的に行なっています。また、毎週月曜、木曜日に挿管全身麻酔枠を確保し、リスクの高い症例では、積極的に挿管全身麻酔下により安全なESDを行なっています。
     

    ■POEM(Per-Oral Endoscopic Myotomy) アカラシアに対する内視鏡的食道筋層切開術

    2012年からアカラシアに対する新たな低侵襲手術であるPOEMに取り組み、2016年3月には先進医療認定施設、同4月には保険診療適応施設に認定されました。2016年時点での保険診療適応施設は全国で9施設のみであり、甲信地区のみならず北陸地区にもPOEMが施行できる施設がないため、他県から多くの紹介をいただいています。
     

    ■LECS

    粘膜下腫瘍や高度の瘢痕合併表在がんなど、全層切除が必要な症例に対しては、腹腔鏡下手術とコラボレーションする新たな内視鏡治療にも積極的に取り組み、良好な成績を得ています。
     

    内視鏡医学教育

    ■生検カンファレンス

    生検を採取した症例に関しては、全例で生検標本を自ら鏡検し、内視鏡画像、拡大内視鏡画像と組織像を対比しています。カンファレンス室には2台の65インチプラズマモニターが設置されており、内視鏡画像と生検組織像を同時に描出することができます。この結果、内視鏡で得られた所見がどのような組織像を反映しているのか、1例1例から学ぶことができ、病理の報告書からでは得られない高度の知識が得られます。
     

    ■ESDカンファレンス

    ESDを施行した全症例の切り出しを内視鏡医が行い、さらにプレパラートを直接鏡検することで、内視鏡像、拡大内視鏡像、切除標本肉眼所見と組織像を対比しています。年間300例を越える全ESD標本の対比を行うことで、より精度の高い内視鏡診断に迫ることができます。
     

    ■術後カンファレンス

    外科治療が施行された食道がん、胃がん全例に対し、術前診断と病理診断の対比を行なっています。
     

    ■キャンサーボード

    進行がん症例に関しては、毎週開催されている外科・内科合同のキャンサーボードで治療方針を確認し、ガイドラインに基づきつつも、個々の症例に応じた適切な治療方針を検討しています。
     

    ■抄読会

    内視鏡診断治療に関する英文論文の抄読会を毎週行い、世界的視野に立った内視鏡診療に携わっています。当科では、上述のように高度の内視鏡診断・治療を実践し、これまで多くの内視鏡専門医を育成してきました。
     

    学術活動

    佐久医療センター内視鏡内科は2021年に食道がん、胃がん、十二指腸がん、大腸がんに対する内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)を252件施行しました。また、腹腔鏡下を併用し、胃や十二指腸の全層切除を行うLaparoscopy and Endoscopy Cooperative Surgery(LECS)を10例、アカラシアに対するPeroralendoscopic myotomy(POEM) を14例施行しました。
     

    ■Endo-Skill Update

    2003年から開催してきた内視鏡治療とESDに関するlivedemo(Endo-Skill Update)は、すでに20回を終え、延べ7,000名を越える内視鏡医が聴講しました。佐久医療センターでは、このlivedemoを継承し、内視鏡診断・治療の標準化を目指します。
     

    ■Barrett食道研究会

    Barrett食道がんは、欧米では食道がんの過半数を占めており、今後、日本でも増加すると予測されています。本邦ではまだ稀な疾患であるため、全国からBarrett食道表在がんの専門家を集め、Barrett食道がんの早期診断、治療に関して検討するBarrett食道研究会を立ち上げました。2016年6月4日に佐久医療センターホールで第1回の研究会を開催し、以後は年に2回開催しています。
     

    ■国際・国内学会

    米国、ドイツ、オーストリア、シンガポール、中国などの国際学会発表、ライブデモを行いました。国内学会では日本消化器病学会、消化器内視鏡学会、食道学会、胃がん学会、消化管学会等で教育講演、主題演題発表を行ってきました。また、日本消化器内視鏡学会の卒後研修委員、胃がん学会の胃がん治療ガイドライン委員、食道学会の食道がん診断治療ガイドライン委員、全国登録委員として全国的な学術活動へも積極的に取り組んでいます。また、小山恒男は日本食道学会会長であり、2017年6月14日から16日に軽井沢プリンスホテルにて第71回日本食道学会学術集会を主催いたしました。
     

    ■研究会

    全国から症例を集め、拡大内視鏡診断の限界に迫る長野拡大内視鏡研究会。増加しつつあるBarrett食道がんに迫るBarrett食道研究会、東信地区の消化器医が一同に会し症例検討を行う八ヶ岳消化器病研究会の代表世話人・事務局を担当しています。
     

    ■書籍

    各種論文執筆に加え、2016年にはSpringer社から、Endoscopic diagnosis of early gastric cancerを英文出版しました。多くの流麗な画像を掲載した英語の教科書は少ないため、大変好評をいただいています。
     

    ■研修希望

    このように佐久医療センター内視鏡内科では高度の内視鏡診断、治療を行うのみならず、海外の施設ともタイアップして、高度の専門教育を行なっています。研修を希望される場合は人材育成推進室(rinken@sakuhp.or.jp)へご連絡ください。

  • 取り扱っている主な疾患

    ■食道

    ・食道炎(逆流性食道炎、好酸球性食道炎、感染性食道炎)
    ・食道がん
    ・アカラシア
    ・食道運動機能障害
     

    ■胃

    ・胃腺腫
    ・胃がん
    ・胃粘膜下腫瘍
     

    ■大腸

    ・大腸ポリープ
    ・大腸腺腫
    ・大腸がん
     

    ■十二指腸

    ・腺腫
    ・腺がん
    ・NETなど
     

  • 実績

    佐久医療センター内視鏡内科では2018年1月から12月までに75例の消化管超音波内視鏡検査、38例の高解像度食道内圧検査、262例のESDと9例の腹腔鏡合同手術、9例のPOEMを施行しました。

    2019年4月1日更新

    2021年度実績

    患者数
    外来初診患者数 671
    新入院患者数  288

     

    ●手術件数

    手術 件数
    咽頭ESD 5
    食道ESD 62
    胃ESD 174
    十二指腸ESD 17
    十二指腸EMR 13
    大腸ESD 11
    POEM 7
    POET(粘膜下腫瘍核出術) 2
    LECS 12

  • 医師紹介

      内視鏡内科

    • 部長 小山 恒男  (おやま つねお)  卒年1985
      • 専門分野

        ・食道がん・胃がん・十二指腸がんの診断
        ・内視鏡診断
        ・内視鏡治療

      • 取得資格

        ・日本内科学会 認定内科医・総合内科専門医
        ・日本消化器内視鏡学会 専門医・指導医
        ・日本消化器病学会 専門医・指導医
        ・日本食道学会 認定医
        ・日本消化管学会 専門医・指導医

      • 所属学会

        ・日本内科学会
        ・日本消化器内視鏡学会(評議員)
        ・日本消化器病学会(評議員)
        ・日本胃癌学会
        ・日本食道学会(監事・評議員)
        ・日本消化管学会(代議員)
        ・米国消化器内視鏡学会(国際会員)

    • 副部長 高橋 亜紀子  (たかはし あきこ)  卒年1997
      • 専門分野

        ・食道がん・胃がん・十二指腸がんの診断
        ・内視鏡診断
        ・内視鏡治療

      • 取得資格

        ・日本内科学会 認定内科医
        ・日本消化器内視鏡学会 専門医・指導医
        ・日本消化器病学会 専門医・指導医
        ・日本胃癌学会
        ・日本食道学会 認定医
        ・日本消化管学会 専門医・指導医

      • 所属学会

        ・日本内科学会
        ・日本消化器内視鏡学会(評議員)
        ・日本消化器病学会
        ・日本胃癌学会
        ・日本食道学会(評議員)
        ・日本消化管学会(代議員)
        ・日本ヘリコバクター学会

    • 医師 加古 里子  (かこ さとこ)  卒年2014
      • 専門分野

        ・消化器内科

      • 取得資格

        ・日本内科学会 内科認定医
        ・日本消化器病学会 専門医
        ・日本消化器内視鏡学会 専門医

      • 所属学会

        ・日本内科学会
        ・日本消化器病学会
        ・日本消化器内視鏡学会
        ・日本消化管学会
        ・日本膵臓学会
        ・日本胆道学会

  • 紹介時のお願い

    早期食道、胃、大腸がんの診断には内視鏡検査および生検が必須ですが、異型の弱いがんは生検診断も困難なことが多々あります。消化管専門の病理医は全国的に不足しており、検査センターなどで施行された生検診断では不十分な場合もあります。佐久医療センター内視鏡内科では国内外の内視鏡専門医、消化管病理専門医とタイアップし、より精度の高い診断を目指しています。

    ご紹介いただく際には、①内視鏡画像(CDなどに記録した電子画像)、②内視鏡報告書、③生検病理報告書に加え、④生検プレパラートを添付していただきますようお願いいたします。また、内視鏡内科では受診時と退院時、最終診断判明時の3回、返書をお送りしています。ご不明な点があれば、いつでも地域医療連携室へお問い合わせください。どうぞよろしくお願いいたします。