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 ドクターヘリの運航は3年を経過し搬送件数も1000件を超えることができました。
 これまで、多くの方のご理解とご協力により、安全に運航ができたことが、私自身にとってなによりありがたく感じるところです。ドクターヘリの運航にかかわる私の役割は、運航時の情報伝達、同乗家族のケア、見学者対応、忘れ物対応、広報活動など、なんでもやります。
 今回はこれまでのエピソードの一部をお伝えしたいと思います。
 もしものこと・・ドクターヘリの運航を当院で行うことが決定したときには、県内で起こった取材ヘリの墜落事故が記憶に新しく、フライトナースやその家族の皆さんからは不安な声を聞くことが多くありました。「ヘリの事故は統計的にも交通事故より遙かに少ない。もしもの場合は、きちんと補償をしてもらえます。そして子どもの成長と後添えの心配は私が責任を持つから」と説明をしておりました。
 運航開始時にはドクター、ナースに交通安全のお守りを用意させていただきましたが、私は、合格祈願のお守り(落ちない!)の方が良いのではないかと真剣に思っておりました。
 警察のお世話になることが・・突然の事故における傷病者の搬送症例では、患者様の氏名等の確認ができない場合が多くあります。当院に搬送される場合は特に、カルテの作成、家族への連絡の有無等を確認し、早急に対応することが必要になります。患者様の所持品などから身元確認が困難な場合もあり、ここでいつもお世話になるのが管轄の警察です。交通事故の場合は警察でも現場活動が大変である様子が伺えますが、その混乱している中でも、私の所属、氏名を名のり、情報提供をお願いすると、確実に情報を得ることができます。警察へお世話になることが多く、大変ありがたいと思っています。
 ○○詐欺に間違われないように・・ドクターヘリの搬送事例は、半数以上が外因性、いわゆるけがに関係しております。信州は観光地も多く、他県からの観光客の搬送事例も多いことが特徴といえます。ときには、突然の事故で搬送された患者様の家族へ、現状を連絡しなければならないこともあります。一つひとつ言葉を選びながら現状を伝え、2次災害(慌てさせて来院途中に事故を起こすこと)がないように病院の場所を伝えます。最近は電話でのいろいろな事件も多発しており、不審な電話に間違えられないように細心の注意を払っての対応をしております。
 地域の救急医療を支えるすばらしいシステムのために私たち医療者は、日夜患者様のために、多くの困難に立ち向かい業務をこなしております。この現状の中だけにいると、ともすると、自分たちの驕りに気づかなくなるのではないかと思います。ドクターヘリの離発着に伴う騒音は、ご近所の住民方にはご迷惑をおかけしています。常に広く周囲のことを考え、驕ることなく、支えてくださる多くの皆様に感謝の気持ちを忘れずに、地域の救急医療充実のために頑張っていきたいと思っ都締ます。
 「来年も飛びます!信州ドクターヘリ」


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