『小児において極めてまれに水痘、インフルエンザなどのウィルス性疾患の先行後、激しい嘔吐、意識障害、けいれんと肝やその他の諸臓器の脂肪沈着、ミトコンドリア変形やGOT、GPT、LDH、CPKの急激な上昇、高アンモニア血症、低プロトロンビン血症、低血糖等の症状が短期間に発現する、高死亡率の症状である』と定義されています。


 ライ症候群の発症と解熱鎮痛剤の使用の間に因果関係があるのではないかという疑いが持たれ、疫学調査が行われました。1998年にアメリカでは関連性があるという最終報告が示されました。日本はアメリカに比べてアスピリンの使用量が少ないことから、因果関係は明らかにされていませんが、やはり1998年にサリチル酸系医薬品(アスピリン、エテンザミドなど)は15歳未満の水痘、インフルエンザ等のウィルス性疾患患者に対し、投与することが禁止されました。


現在多くの市販されている小児用感冒薬の中にはアスピリンが完全に抜かれ、解熱鎮痛薬としてはアセトアミノフェンが使用されており、安全性の面でもかなり慎重に考慮されています。以前は(といってもだいぶ昔の話ですが)、小児用バファリンという薬の主成分はアスピリンでしたが、現在はアセトアミノフェンです。しかし既に発売が中止された医薬品ですが“医療用小児用バファリン”という、医療機関から処方せんを発行してもらわないと手に入れることができない薬は、主成分がアスピリンのままでした。もし手元に医療用小児用バファリンが残っている場合でも、医師が指示した用法以外には決して用いないでください。疑わしきは避けるべきです。



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