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プライマリヘルスケア

プライマリヘルスケアとは

現実的で科学的妥当性があり社会的に許容可能な方法論と技術の基づいており、コミュニティにおける個人と家族が彼らの完全な参加を通して普遍的にアクセス 可能で、自己決定の精神に基づいて発展のすべてのステージにおいてコミュニティと国が維持することが可能なコストで提供可能な、必要不可欠な保健医療サービス (アルマ・アタ国際会議定義)

> 一般の皆様(簡潔にまとめました) > 医療関係者、学術関係者、学生の皆様へ(より詳しい解説はこちら)

一般の皆様

p001プライマリ・ヘルス・ケア(以下、PHC)は、「すべての人々に健康を」の目標の下、すべての人々に健康を基本的な人権として認め、その達成の過程において住民の主体的な参加や自己決定権を 保障する理念でもあり、そのために地域住民を主体とし、人々の最も重要なニーズに応え、問題を住民自らの力で総合的にかつ平等に解決していく方法論でもあります。 その理念を達成するための大原則は以下の4つにまとめられます。

住民主体・住民参加

地域住民が、それぞれの健康づくりの主体となり、保健医療の活動に住民自身が参加することが必要されています。

住民ニーズ志向

地域住民にとって客観的に必要性が高いもの(ニーズ)に応じて、保健や医療を提供します。途上国においては、地域によっては水や地方風土病に対する対策が最も必要性が高いこともあります。

地域資源の活用・適正技術の使用

地域資源の活用・適正技術の使用 医療機関が非常に遠い地域においても予防接種を普及することは可能であり、栄養失調改善には、その地域で取れる食物をうまく活用することが最も効率的です。

他のセクターとの協働

保健医療機関だけで、人々の健康は達成されえません。教育、農業、水、商業など多領域とともに健康へのアプローチすることが有効です。

医療関係者、学術関係者、学生の皆様へ

プライマリヘルスケア(Primary Health Care)とは

プライマリヘルスケアとは、”Health for Al”lの大目標の下、公平性、住民参加、住民ニーズ志向、予防活動重視などの実現を求めて形成された理念かつ方法論です。  PHCは1978年、旧ソ連邦カザフ共和国の首都アルマ・アタで出された、歴史的な宣言が基礎になっています。このアルマ・アタ宣言 によると、 「PHCとは、実践的で、科学的に有効で、社会に受容されうる手段と技術に基づいた、欠くことのできない保健活動のことです。 アルマ・アタ宣言では、’Health for All by the Year 2000’(2000年までにすべての人に健康を)が目標とされました。そしてその原則論が5つ提案されたが、それは、1)地域住民の参加、2)住民のニーズ志向、3)地域資源の有効活用、4)適正技術の使用、5)多分野間の協調と統合、です。

プライマリヘルスケアは低所得国ためだけの概念か

一義的にはPHCは途上国の開発課題として構想された面があり、 その意味では、BHN(Basic Human Needs)や「もう一つの開発」など、近代化論による開発の弊害への反省に立った第二世代の開発論と言えますが、 それ以外に、世界人権宣言(1948)や国連社会権規約(1966)に謳われた「人権としての医療」の思想を継ぐものでもあります。 また、CBR(地域リハビリテーション)や参加型教育法(PRAなど)との交流や相互啓発を見逃せません。先進国でも、西欧諸国やカナダ、オーストラリアなどは、PHCを、地域医療を効率的に運用し、公正なアクセスを実現する意味で、重視してきた経緯があります。

佐久総合病院におけるプライマリヘルスケア活動

日本においても、戦後長野県の佐久病院などの農村地域で試みられてきた予防重視の住民参加型保健活動は、PHCのモデルにもなりました。1959年より始まった八千穂村における全村健康管理活動や、赤痢の蔓延により危機感を募らせ、また皆保険制度の導入で病院窓口での支払いが困難なインフォーマルセクター中心の地域住民が発端となって活動した衛生指導員の活躍は、住民のニーズ志向、地域住民の参加の好例でした。また現在も続く病院祭には現在も毎年5万人以上の来場者を数えています。そして「家で死にたい」という高齢者の声に応えるように、先進的に在宅診療を実施してきたのもプライマリヘルスケアの精神の賜物であるといえます。 (参考:佐久病院史 監修 若月俊一、編集代表 松島松翠)

浅間総合病院におけるプライマリヘルスケア活動

佐久市立国保浅間総合病院は昭和34年6月に、吉沢國雄先生を迎えて開院しました。国保直診施設本来の使命を「診療」と「予防衛生活動」の二本の足とし、地域住民の健康管理、共同研究、集団検診活動に実り多い成果をあげました。また、特に糖尿病においては、山間部の通院に時間がかかる住民を想い、インスリン自己注射の普及に尽力されるとともに、患者会である「りんどう会」を結成されました。また晩年は、佐久市健康管理センターの初代所長として、「保健補導員制度」を導入され、「住民の健康を増進する集い」を牽引されました。 (参考:吉沢國雄業績集 吉沢國雄業績集編算委員会)

PHC回帰の流れ

PHCは、2000年までという目標を達成できなかったという意味で、批判を浴び、また早くも1979年には「選択的PHC」が暫定戦略(Interim Strategy)としてWalshらにより提唱され、理論的にも現場レベルでも論争や混乱を招いていました。 しかし、WHOは、21世紀の世界の保健課題を達成する上で、改めてPHCの遺産を肯定的に捕らえ、取り組む姿勢を示しています。 その意味で2008年には、WHOから歴史的に重要な2つの文書が出されています。 一つはPHCの21世紀版、“World Health Report  Primary Health Care: Now More Than Ever” (世界健康白書 プライマリ・ヘルス・ケア:それはこれまでにも増して必要とされている) もう一つは、 “Closing the gap in a generation: Health equity through action on the social determinants of health“ (世代内の健康格差を縮める:健康の社会的決定要因への働きかけを通しての健康における公正の達成) これは「健康の社会的決定要因」という近年、重視されているPHCと密接に関連する考え方です。 そして21世紀中葉に向かう現在の日本は、世界に先駆けて「少産多死」という人口転換 、いわば第4の健康転換期 に突入しており、財政も含めて大変な時代である。 だからこそ、PHCについて考え直すことが非常に重要な時期であるといえます。

これからのプライマリヘルスケア

21世紀になり、人口移動、人口転換、格差の拡大など社会変革のスピードは増すばかりです。また日本においては都市部、地方部ともに徐々に在日外国人数は増え、東南アジアにおいてはAsia Economic Committeeが2015年に始まり、移民人口が急激に増加することが予想されています。先進国では、少子高齢化が進み、一人の若者が支える高齢者の割合が年々増加する中、未だにどのように高齢者の健康をコミュニティで守っていくのか道筋は明らかではありません。同様に、疾病構造は、周産期疾患や感染症から、肥満、高血圧、糖尿病、がんなど生活習慣病(非感染性疾患)へと転換しつつあります。また、大地震、巨大台風、ハリケーンに大豪雪と、世界において災害は増加傾向にあり、特に南海トラフ地震を控える日本においては災害対策は急務であり、世界からもその動向は注目されています。これらの21世紀の健康課題に対していかにしてプライマリヘルスケアの概念・原則をいかしていくのか、当地方会を通じて議論していきたい。 (引用・参考:プライマリヘルスケア研究所(Primary Health Care Institute / PHCI)Website: http://phci.jp/