BackBaseNext
 はじめまして、今春から救命救急センターで後期研修をさせていただいています、木邑(きむら)と申します。医学部を卒業後、同じ長野県厚生連の長野松代総合病院で2年間の初期研修をさせていただき、引き続き1年間、内科医として勤務していました。
 長野松代総合病院は、県内でも数少ない屋上ヘリポートを備えた病院であったため、3年間の勤務の間、そう多くはございませんでしたが、信州ドクターヘリによって患者様が搬送され、その受け入れ側スタッフとして対応をさせていただきました。
 ドクターヘリの機体が静かに着陸した後、エンジンが停止し、ネイビーブルーのフライトスーツに身を包んだフライトドクターとフライトナースが降り立ち、患者様とともにヘリポートを歩む姿が、とにかく格好良かったのです。まさに「憧れ」でした。もし自分もフライトドクターになれるチャンスがあるなら挑戦したい、「憧れ」の世界に自分も身を置いてみたい、という気持ち(ほぼ「衝動」に近いものでしたが)を抑えきれず、今春、佐久総合病院救命救急センターへ移籍させていただきました。
 この原稿を書いている時点で、出動は2回のみですが、すでに「ヘリ救急」の世界の厳しさを、骨の髄まで思い知らされました。標準的な心肺蘇生法や外傷初期対応のアルゴリズムについては、移籍までに何度も講習会に参加し、知識としては理解していたつもりでした。しかし、現実の重症患者様を前にして、経験に裏打ちされないおぼろげな知識は役に立たず、自分の無力さに打ちひしがれている、それが今の現実です。
 でも、挑戦は始まったばかりです。怯まずに現実と向き合い、昨日よりも今日、今日よりも明日、少しでも救命救急の現場で価値のある仕事ができるよう、努力をしていきたいと思います。
 長野松代総合病院在任中、救急対応を一緒に頑張ってきた仲間の一人がこう言ってくれました。「木邑先生がドクターヘリで運んできた患者さんを、自分で受けるのが夢なんだ」と。「そのために自分も努力する」と。遠い空の向こう、働く場所は違っても、同じ患者さんのために努力している仲間がいるから、頑張れそうな気がします。
 皆様、ご指導ご鞭撻のほど、何卒よろしくお願いします。

 追記 この原稿を書き終えてか
ら、転院搬送で長野松代総合病院へ出動しました。院長先生、副院長先生をはじめ、内科外来の看護師さんたちに見送られ、離陸しました。暖かい励ましに、感謝の念でいっぱいです。やはり、何とか頑張れそうな気がします。


BackNext